菓子折り  素直になれない!亮編 2/2

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愛影

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絶対服従のまほう

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きよ子

*マーク性描写あり

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素直になれない!亮編 2/2

いつぞやの土曜日だ。

「なんだよ…眠いんだけど」

「もう11時まわってるぞ起きろ!」

「なんだようるさいな?、今日部活ないし寝かせてよ」

何だか最近苛々してる。
それは、建の机の上にチョコレート博の袋があるから?
よくわからないけど、物凄く建斗を見ると…苦しい。
瑞穂を見てもそうだ。苦しい。

「…」

「いやあの、兄貴さ、無言で見られてると寝れないから出てってよ」

どんな可愛い女の子に言い寄られても、俺には家帰って建斗に飯作ってやらなきゃならないし。
放課後カラオケに誘われてもやっぱり建斗がいるから断って、皆にノリ悪いって思われたこともあったし。
でも飯作るのも、家事やるのも何も苦じゃなかった。
だけど
やっと心から親友と呼べる瑞穂が離れていく気がして怖かった。
しかも弟のせいで?…そんなこと思っちゃいけないのに。

「兄貴?どうしたの?」

ずっと黙っている姿に建斗が顔を覗き込んでいた。

「いや…なんでもない」

建斗の心配そうな顔を見て怒りが収まっていった…はずだったが

「飯出来てる?」

この一言にまたブチッと来た。

「お前俺のこと家事と飯だけ作る脇キャラだと思ってんだろ!!」

「わっ脇キャラ?」

「俺だって主要キャラになりたいんだ!」

「…本当どうしたんだよ」

「もぅいい!」

堪らず家から飛び出た。
今から主婦(夫)の気持ちがよくわかる。
家事してるだけが役目だと思いやがって。
俺だってたまには遊びたい!

そうだ苛々の原因はきっとこれだ。
俺はきっと今自由な時間が欲しいんだ。
だから苦しいんだ、きっとそうだ。

「瑞穂」

「あん?」

真直ぐに向かった先は、瑞穂の家だった。

「映画見に行きたい」

「え、今から?」

時計を見ると、もう17時を差していた。
さっきからずっと瑞穂の家でゴロゴロしていたのだ。

「今からいけばレイトショーに間に合うじゃん!行こうよ?」

ちょっと甘えた声に瑞穂が弱いことを俺は知ってる。
こう言えば断れないことを。

「ぅうっ」

ほらどうだ。
弱っているぜ。

「でも建は?今日家なんだろ?」



「最悪」

俺にしては珍しい、思っていることを口に出してしまった。
それにしてもまた建斗かよ。
また胸が苦しくなっている気がした。

「最悪って…亮が帰ってこなかったら、建が心配するんじゃないの?」

初めて見る本心を剥き出しにして話す俺の醜い顔に驚いてるようだ…。
このままじゃいけないか。

「建だってもう中学生だぜ?お兄様がちょっといなくても大丈夫だよ!な?行こうよ?」

「でも…」
再度の甘えた声にもためらいの返事が返ってきた。
次第に苛々してきた。なぁ俺は何にいらついているんだろう
誘いを断ろうとする瑞穂に?
それとも、その理由が建斗だから?
俺には自由な時間が必要なのに。苦しいんだよ

「ならいいよ、一人で行く」

もうよくわからなかった。
なんでもいいよ。

「おい何怒ってんのさ?」

何にって…こっちが聞きたい。
何苛々してんだよ俺

「も?帰る(≧ヘ≦)」

本当は飛び出して帰りたかったけど、心配してる瑞穂の顔を見ているとなんだか困らせるのは可哀相で、つい得意の顔芸をしてしまった。
なんだかな?
いつもこの顔芸で感情押し殺してる気がするんだべよ。

「これどう思います?建のやろう俺を料理マシーンとでも思ってやがるんだ!ヽ( )`ε´( )ノ」

「あらぁ亮君、随分と今日は怒ってるのね!これ新発売の干し芋」

主婦(夫)友達とも言える隣の工藤さんちに来ていた。

「あっ!本当だこの干し芋みたことないや!って今はその話じゃなくて、おばさんは嫌になることない?あいつお兄様を料理マシーンに思ってるんだよ絶対!」

「そりゃそう思うことぐらいあるわよ、あの人だって毎日顔逢わせれば「母さん飯はー?」よ」

「でしょう!人のことなんだと思ってるんだよ!ストライキじゃっ!」

「うーん、でもね家にいるとどうしてか料理を作っちゃってる…それってやっぱりこの人だからって思うのよねきっと、でも亮君は学生だし建斗君は弟なわけだから例えが違うけど、おばさんはなんだかんだ言っても結局は長い間ここにいて、ここで生活してるから、そういうふうには思ったことないわよ。建斗君だって亮君にもの凄く感謝してるんじゃないかな?でも、亮君はそれで、苛々してるの?確かに自由な時間でストレス発散も大事だけど、おばさんには亮君は違うことでちょっと悩んでるように見えるよ?亮君も素直に生きればいいのよおばさんみたいに!なんでも溜め込んでるとすぐ老けちゃうわよアハハハハ!」


素直に生きるねぇ…

「えっあれ岡島君じゃん!」

「あっマジだ!岡島!珍しい遊ぼうぜ!」

工藤さん家から出て駅前のゲーセンに移動すると、男女6人の同級生たちが遊んでいた。
皆で遊ぶのは久しぶりだった。
プリクラ
マリカー
メダル
UFOキャッチャー
・・・

「凄い岡島君取るの上手!」

100円200円…財布から一ヶ月分の夕飯代が飛んでいく。
あぁさよなら明日のおかずたちよ


結局

全然楽しめなかった。
お金もこんなに使っちゃって、瑞穂がいたら止めてくれたはずだ。
しかも、楽しめなかった理由は他にもある。
頭にあるのはずっと建斗の心配だった。
腹空かせて死んでるかもしれん…。

「帰るしかないのかにゃ」

近所の野良猫を触りながら我が家を見つめる。そろそろ母さんたちも帰ってくる時間だ。

「帰るか」

渋々煮え切らない気持ちで、玄関の前に立つと、何やら嗅いだことがない臭いが漂っていた。

「ゲッ何事だよ!」

戸惑っている暇はなく、急いで家の中に入ると、建斗が台所に入っていた。
…まさか腹減り過ぎて自殺!?

「建!どうした死ぬな!お兄ちゃんがついてるぞ!」

「おあっ!あ、兄貴お帰り!…ふっ風呂沸いてるぞ」

風呂?
「へ?」

「風呂だよ!それとも飯にする?」

飯??
「え??」


風呂…飯…建斗は何を言ってるんだ?

「飯が先なら、今作ったのテーブルに出してあるから」

今作った?テーブルに?
テーブルをちらりと見ると謎の塊…いや飯と瑞穂が椅子に座っていた。

「飯…瑞穂も!建が作ったの?」

「いや俺は建に作られてないぞ」

瑞穂は立ち上がると俺に席を譲った。そこに座れってことか?
目の前には明らかに水の量が多くてべちゃべちゃになったソース焼きそば無惨な姿に置かれていた。

「建が…」

「まってまだ完成してないの!」

建がフライパンを振り回すようにして持って近付いてきた。
いやいやいや!

「んな危ないって!どうするの!?ちょっと危ないから貸してみなよ」

「どいて!兄貴は座ってて」

手を跳ね退けられると、建斗の持っていたフライパンから黄色い液体が焼きそばに降り注がれた。
…卵?どうやら黄色い液体の正体は卵のようだった。
オムソバ?

半熟で固まっていない卵を雪崩のように焼きそばに掛けると、すかさずフライパンを机に置くとケチャップで文字を書き始めた。
「げ、やきそばにケチャッ…プ」


建が小学生の頃、家庭科の調理実習で作ったっていうブラウニーを持って返ってくれた。
あまりに嬉しかったから形もみずに口いっぱいに頬ばったら…

『なんだこりゃぁ!!Σ(@□@;』

焦げただけだったらまだしも、なんでこんな生臭くてこりこりしてんだ。

『おっ美味しくないかな?』

『いやうんまいよ!ゲフうまい(T?T)』

建が一生懸命作って俺にくれたんだ!って思いながら泣きながらくったっけ。
そしたら建斗が今まで見たことないくらいにニッコリ笑って・・・


「兄貴いつもありがとうな…」

オムソバの上にケッチャップでいつもの俺のあほみたいな顔文字が書かれていた。

(^∀^)

焼きそばはぐっちゃぐちゃだし
卵は雪崩だし
ケチャップはあわないし

だけどそれは涙が出るほど美味しくて
今も昔も

『兄ちゃんいつもありがと』

変わらなくて

「げっ!俺ダメだったかな瑞穂どうしよう」
「お前の料理に絶句したんじゃない」

俺はこの二人が大好きだ。
唯一無二の弟
俺の心からの親友の瑞穂

苛立つことなんかないじゃん。
馬鹿だな俺は。ずっと二人の側にいれればいいじゃん。

「このオムソバ見たら誰でもまずそうで泣くって」
「まずそうとは何を言う!見た目はまぁ…余りいいとは言えないけど味は格別だよ」

涙でかすんでよくわからないけど、瑞穂を独り占めとか建斗がどうのじゃなくて俺はこのままでいいからずっと二人が幸せそうでいてくれればそれでいい。

「うあっ!亮無理すんな!」

建斗の料理の腕は相変わらずだったけど

「いや、うめーよ建ありがとな」

昔と変わらないすごく優しい味がした。



そして
俺は戦線から離脱した。
その間瑞穂が死にそうなぐらい痩せこけたことがあったけど、結局救えたのは、救えるのは俺じゃなくて建斗だった。その事実は凄く残酷なことだったけど、建斗は俺に似て素直になれないところがあるから何度も背中を押してやった。
「建!素直になれよ!」

それは自分にも言える言葉だったけど、この状況は俺が素直になってもどうしようもないことで、ただ1人瑞穂を救える建斗が素直になるべきだったんだ。
え?かっこつけるなって?確かにただの言い訳かな

建斗は素直になれて瑞穂と心の底から理解しあえる二人になった。
もちろん俺だって今でも、弟とも瑞穂とも一緒にいるから幸せだし、前のような苦しみもほとんどなくなった。
俺の気持ちも建斗に全部背負ってもらってたのかな。

今日も朝からお二人さんはラブラブでウザイし…さぁて次こそ俺も
誰かを愛して素直になるかな…




なーんてね(^∀^)


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